8月2010

三浦哲郎さん|ヘーシンクさん|ギフト最終月

2010・9・1

訃報がふたつ知らされた。

 

ひとつは、作家の三浦哲郎さん。

なにひとつ、まともに著作を読んでいない。

だが、小学校か中学校の国語の教科書に載っていた

著書「春は夜汽車の窓から」を、

一瞬のうちに思い出した。

 

確か、鈍行に揺られる若き日の作者。

片田舎の駅に、誰知らず咲き誇る満開の夜桜やら、

ホームの子供たちと、勝気の笑顔で別れた後、

「ごつっ」と、汽車のガラス窓におでこをぶつけて

涙するお母さんやらの情景の話だったはずだ。

 

教科書には、

小説抜粋がそれこそ数多あったはずだが、

中年以降になって、一瞬でその情景が甦ってくる

作品なんて、滅多にない。

 

いまひとつは、ヘーシンクさん。

東京オリンピック。

初めて五輪競技となった「柔道」の

無差別級優勝。

 

「勝利を決めた瞬間、興奮したオランダの関係者が

畳に駆け上がるのを、厳しく手で制止した。自身には

笑顔もガッツポーズもない。

敗者への敬意と挙惜に、多くの日本人は

この柔道家が『本物』だと知った。

その強さは際立っていた。

勝てる者はいないと言われた。

白羽の矢が立ったのが神永選手である。

『誰かがやらなければならない大役』だったと、

悲壮ともいえる記述が公式報告書に残る」

と、天声人語が伝える。

 

二言目には「自分自身、楽しんで」と言う

今の五輪代表の姿や、

凡退しても「お疲れさまでした、ゆっくり休んで下さい」と言う

マスコミは、いい事です。

が、当時の代表は

(この年に生まれたくせに、聞いた風な口叩くんじゃねえ!

と言われれば、それまでですが)、

皆悲壮でした。

 

マスコミも、世論も、凡退でもしようものなら、

それこそ「国賊」扱いでした。

自分は何一つ世界と戦えるものなんて無い、

何一つ人並み以上の努力なんてした事すら無い人々が

寄ってたかってです。

マラソンで銅メダル「に終わった」円谷選手は、

後日剃刀で頸動脈を切りました。

 

天声人語は続ける。

「ノーサイドの高貴が、この勝負にはあった。

一方が『神永さんは敵ではなく仲間なのです』

と言えば、一方は『私のとるべき道は良き敗者たること。

心からヘーシンクを祝福しました』

素朴さの中で五輪は光っていた。(中略)

『柔道からJUDO』への貢献は末永く続いた。

思えばまたとない人物に、

あのとき日本は敗れたのであろう。」

 

世界中が、

あの頃より、はるかに豊かになったはずの時代。

果たして、人の精神性は、

伴って豊かになっているのだろうか?

 

「人間の不安は科学の発展から来る。

進んで止まる事を知らない科学は、かつて

我々に止まることを許して呉れた事がない。」

                夏目漱石「行人」より

 

以前に、当ブログでもご紹介したNHKの番組

「ギフト」の、最終放送月のテキストの

名言のひとつです。

 

2010年8月31日7:53 PM | カテゴリー未分類コメント (0)

SOLIの合うお客様

2010・8・31

当店近くにお勤めのご常連S様が、

先日お越し下さいました。

 

初めてお越し頂いた時から、

お酒や食べる物のお話が、とても楽しく弾んだので、

SOLI(反り)の合うお客様・・・なんて

勝手に思っておりましたが、

先日は、陶器や和服の話題にまで発展。

いずれも、店主も大好きな分野ですので、

「やっぱりSOLIなお客様だったんだ!!」

ってんで、

いつか「粋に感じて下さるお客様」からの

シャンパーニュのご注文の際にお出ししようと、

心に決めていたグラスを、

晴れてデビューさせて頂くことができました。

 

ドイツはローゼンタールのシャンパンフルートでございます。

私、ローゼンタールのグラスが大好きで、

数年前に、少し買い足そうと、前回買った日本橋高島屋

に出向いたのですが、

「ローゼンタールは、もうグラスの製造を止めました。」

とのお答え・・・・・・・・・・・・・残念の極み[悲報]!

 

勢い、貴重な手持ちは、仕舞い込みたい衝動にも

駆られそうですが、

「道具は使ってこその価値!!」

またこの点においても、

S様とは気が合って・・・

 

「ああ、いいお客様にデビューさせて頂けて

ホントに良かったねheart

まるで分身です。

手塩にかけた舞妓を水揚げさせる、

お母さんの気持ち・・・

やや筆が踊りました。

申し訳ありません。

 

尚、SOLIは、9月6日(月)、7日(火)、8日(水)と

夏休みを頂きます。

大変申し訳ございません。

何卒宜しくお願い申し上げます。

 

2010年8月30日9:21 PM | カテゴリー近況報告コメント (0)

艸菴再び・・・夜

2010・8・30

頑固な残暑ですね。

 

2週間通しで働いた仕事終りの土曜日、

久々に同業師匠連と、一献酌み交わさせて頂きました。

極く極く軽い二日酔いを、

やはり同業者ご用達の、愛すべき「小金湯温泉」で

醒ましたのは・・・

この2週間、ずっとずっと楽しみにしていた、

艸菴「夜の部」訪問のため。

 

べアレンビールの白で始めた今宵は、

まず先附、「獲れたての枝豆と夏野菜のピクルス」。

フレンチに限らず、

過去、「記憶に鮮明に味が残って、いつでも

その日頂いたメニューの味を、ひとつひとつ

イメージとして甦らせることのできるレベル」の

料理店は須らく、アミューズからして、

抜群に旨い。

艸菴もその好例である。

 

板わさ~さつま揚げ~玉子焼き(こんがり男焼き)。

加賀鳶~美丈夫~凱陣~菊姫~三千盛。

お醤油の事を、なぜ「紫」と呼ぶか、

こちらで板わさを頂く度に、再認識する。

夏茶碗のようで気に入った薄手の猪口に

固定して飲み進む。

 

ここで、そばがき。

カウンター9人もの客の仕事を、

お一人で魔法のようにこなしながら、

前回にも増しての「入魂」。 

 

いい宵であり、いい酔いである。

 

他のお客が頼んだのを見て、

同時に、かき揚げ。

猪口を、一旦脇へ休めて、

べアレンビールのクラシック~

ハートランド。

 

自分で言うのも可笑しいですが、

こういう酒品を備えた客には、

亭主も粋を感じてくれるもの。

かき揚げのお客が同時に頼んでいた、

茄子の含め煮を、そっとサービスして

下さる。

味は今夜の出色である。

 

艸菴の旨さは、勿論ご亭主の味のセンスに起因するが、

1) 好き勝手な客のランダムな注文に対する、

  仕事の優先順位に、一点の迷いもミスもない事。

2) どんなに注文が集中しても、

  一寸たりとも無駄な動きをせずに、

  一品一品精魂込めて作る事。

3) 当たり前の事かもしれないが、

  何といっても出汁が美味しい事。

これらの点に集約される。

 

お客様から見れば、

「金取ってんだから、当たり前」かもしれませんが、

365日、雨が降ろうが、雪が積もろうが、

地下鉄が人身事故で止まろうが、

一糸乱れず、淡々と、ただひたすら愚直に

この事を繰り返す・・・

これがなかなか大変な事なんです。

 

例えば、2)の「無駄な動きをしない」ためには、

洋の東西を問わず、一定以上のレベルの料理人は

誰でも、「厨房内のここからここまでを何歩で歩く」かが、

全て頭に入っていて、仕込み~営業を通して、

一歩たりとも無駄足を踏むことが無い。

 

大前提として、「風邪をひく」などという不用意は、

1日たりとも許されません。

 

そういう仕事だと思います。

 

にしんそば~もり(残念ながら『田舎』が売り切れ)。

 

いかの丸干し(ゴロ入り一夜干し)と、ざるどうふを

次回のお楽しみに残して帰りました。

 

前略 艸菴様

いい夜を有難うございました。

大人に生まれてよかったです。

                 草々

 

 

尚SOLIは、9月6日(月)、7日(火)、8日(水)と

夏休みを頂戴致します。

7:18 PM | カテゴリー近況報告コメント (0)

しもづ

2010・8・28

M32星雲からの、

今のところ唯一のご常連、S妻さん。

 

彼との奇跡的な再会は、

5月21日にSOLIを開業して、翌週。

店主が、自店ビルと両隣のビルの全テナントに、

開店のご挨拶にお邪魔していた折。

全く偶然に、彼と出会いました。

それこそ、M高卒業以来だったのですが、

お互い、すぐに判りました。

 

やや、「藁をも縋る」的な気持ちで、

(ま、もともと製薬会社のMRですから、

挨拶回り自体に、抵抗は無かったのですが・・・)

テナント回りをしていた最中でしたから、

「地獄で仏」?「九死に一生」?

いえ、どっちもやや的外れですが、

ともかく、救われるような思いだった訳です。

 

思えば彼とは長い。

M駒内中だった店主は、母の命令で、

当時の平岸グランドビルにあった、

SKCという進学塾に通っておりました。

塾生のほとんどが、当然H中生。

中の一人がS妻さんでしたから。

 

剣道に長じる彼は、剣士らしく当時から真面目で、

(中坊同志でこう言うのも何ですが・・・)

所謂「男気のある」人でした。

 

いつも、「今週はどう?」「今月はどう?」

って心配しながら、

お一人で、時に上司の方や、お客様を伴って

ご利用下さる。

 

30年という時を経て、

突然、またご縁が繋がったばかりだというのに、

しもづの「男気」は、

些かも輝きを失っていない。

2010年8月28日5:22 PM | カテゴリー近況報告コメント (0)

北大マルシェ

2010・8・27

お昼のUHBのニュースで知って、

母を誘って、久方ぶりに母校のキャンパスに

散歩がてら行って参りました!

「北大マルシェ」

 

農学部の、今年からの行事だそうで、

今日と明日、

取れたての野菜を安価で売っていたり、

その野菜や、道産小麦粉の生地で作った

窯焼きのピザなんかが食べられるってんで、

超久しぶりに爽やかな晴天だし・・・と

勇んでやって参りました。

 

ああ、やっぱりうちの大学のキャンパスはいいな。

御茶ノ水あたりに軒を連ねる名門校にも、

この点だけは負けませんね。

「キャンパス~」って感じがしますもん。

アイビーリーグチックっていうか[照]

大野池には睡蓮の花が咲き乱れ、スケッチや読書を

楽しむ人々・・・さながら、モネのジヴェルニーの

庭園。

 

さて、いよいよ農学部前。

テント群。

真っ先にピザコーナーに行き、ピザを予約

(と言っても、5分待つだけ。ケンタの待ち番号

程度のもの。)し、「カニがぎっしり」という

カニコロッケを買い、一番手前の「牧場別6種の牛乳の味比べ」

コーナーで2セット全6種を買って、テーブルに着く。

ちょうどピザの呼び出し・・・。

 

素晴らしかったのは、この牛乳の飲み比べ。

私は今まで、ホルスタイン、ジャージー位しか意識した事が

ありませんでしたが、

全く穀物を与えず、牧草だけで育てた牛の

牛乳やら、クリーミーなコクを追求したもの、

牧場ごとのテロワールと作り手の個性・手腕で

こうも牛乳の味が変わるものか・・・と

ちょっとブルゴーニュや日本酒の愉しみに通ずる

楽しさでしたよ!

 

コロッケは、確かにズワイガニが、真ん中に

「あんパンのあん」のように入ってはいるのですが、

ベシャメルじゃなく、いも。

既製品を持ってきて揚げているというのに・・・。

 

ピザは、道産小麦の生地に、道産チーズと、

生のまんまの道産トマトと、バジルが乗っかって

いるのですが、一番美味しかったのがバジル。

まぁ、子供のやったことですから・・・

 

何が一番残念だったかって、

道産のビールの「ビ」の字も

会場には無かった事。

ピザもコロッケも、マリアージュが牛乳(いくら

美味しい牛乳とはいえ)でさえなければ、

もう少し救われたかもしれないのに・・・

 

それでも野菜は、(残念ながら、北大農場の

採れたてではなく、単なる農家の直売所でしたが)

物は良く、市価より結構安いようでした。

この点と、キャンパスの散歩において

充分行く価値はあると思います。

 

理学部の「アラスカの恐竜展」(なかなか良い!)

を観てから、在学中には無かった、

大野池のほとりの小洒落たレストラン

「エルム」に落ち着き、

ようやく、良~く冷えたビールに辿りついて、

精神のバランスを保った・・・という

単なる飲み助親爺でございました。

後輩の皆様、オヤジのくせに

勝手な事ばっかり申してすみませんでしたm(。。)m

2010年8月27日7:10 PM | カテゴリー未分類コメント (0)

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